指揮者の魅力 ~チェリビダッケのブルックナー~
私は、音楽については、もっぱら聞くの専門です。
80年代以来、マーラー、ブルックナー、ショスタコービッチなどの交響曲を聞いてきました。
交響曲に欠かせないのが指揮者ですよね。
インターネットが普及する前の80年代、指揮者の指揮ぶりを目にするのは、NHKのN響アワーなどのテレビ番組か、実際にコンサートに足を運ぶしかなかったでした。
しかし、今はインターネットの動画サイトを通じて、往年の名指揮者の映像まで目にすることができます。
90年代当時に、私が中古CD屋で見つけて繰り返し聞いていたものに、チェリビダッケとシュトゥットガルト放送交響楽団によるブルックナーの交響曲8番のCDがありました。当時はまだ、チェリビダッケの生前であり、彼の正式な演奏CDは巷に出回ってなかったと思います。そのCDは、FMラジオを録音した海賊版でした。とはいえ、夜中に徹夜して、チェリビダッケ独特の遅いテンポの重厚な演奏を聴いてると、周りの空気までが澄み渡っていくような感覚を覚えたものです。
やがて、世紀が変わってYouTubeなどが普及してくると、チェリビダッケの生前の指揮ぶりが映像で見られるようになりました。チェリビダッケ以外にもカラヤン、バーンスタインなどの映像も見られるので、比較するなどの楽しみ方もできます。
しかし、私にとってはチェリビダッケのブルックナーが一番しっくりときます。それは、彼の哲学者のようなしかめっ面な面持ちと、長大で巨大な建築物のような交響曲の内容とが重複していることに拠るのかも知れません。また、曲のクライマックスで演奏に混じって発せられる彼の唸り声の響きも、映像と合わせてみると納得がいきます。これも、聞きようによってはノイズというよりは演奏の一部かも知れませんね。
すでに、彼がなくなって20年近くになりますが、今、改めて指揮者の魅力を映像を通して再認識している昨今です。
Bruckner Symphony No 8 Celibidache Münchner ...