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neuertag’s blog

映画、音楽、哲学、アイドル文化を中心に思うところを綴っていきます。

走るヒロイン 真野恵里菜 ~疾走する青春~

前の記事で、真野ちゃんこと真野恵里菜のMVについて書いた。実は、真野ちゃんに注目するきっかけになったのが、TV東京で2013年4月から7月にかけて深夜枠で放映されていたドラマ「みんな!エスパーだよ!」である。これは、最近、映画化もされている。このドラマで真野ちゃんはヒロインを演じたのだが、オープニングタイトルで目を引いたのは、監督が園子温だったことである。

今から25年前、私は映画にはまっていた時期があり、雑居ビルの3階にある小劇場に頻繁に通っていた。そんな折に出会ったインディーズの16mm映画が、園子温監督による「自転車吐息」であった。今でも印象深いのは、劇中、園子温が演じる主人公が「俺」と書かれた大きな旗を掲げて商店街を疾走するシーンである。

ドラマを観た方は思い当たるだろうが、第10話のラストで真野ちゃんが、やるせない想いを抱えつつ、「仰げば尊し」を歌いながら商店街を歩くシーンが出てくる。やがて、エンディングロールと主題歌が流れ始めると、真野ちゃんが「私」と書かれた大きな旗を掲げながら商店街を疾走するのである。

※ちなみに映画もTVドラマも舞台は同じ愛知県豊川市園子温の出身地)である。

行き場のない怒りや孤独の感情をどうすることもできず、自分をむき出しにして全力で走ることしかできない遣る瀬なさ。25年前、当時の世紀末の閉塞感とも相まって、私を含む当時の青年たちの多くが「自転車吐息」の走る主人公に共感を覚えたのだと思う。

思い起こせば、当時、「疾走する青春」のテーマは日本に限ったものではなかった。例えば、レオス・カラックス監督も「汚れた血」において、自身の分身たるドニ・ラバンにパリの路地裏を全力疾走させていた。私はというと、そうした疾走する青春映画を観るだけで、自分自身は疾走しそびれてしまっていた。

そして、いつの間にか年を重ね時代は21世紀となり、今は日々の生活に疲れ果てている。仕事に疲れて帰宅した深夜、TVを点けると疾走する真野ちゃんを目の当たりにしたのだ。25年前の苦い想いを抱えた私には、「私」の旗を掲げて全力疾走する真野ちゃんが愛おしくて仕方なく思えたのである。